旅する教師の業務報告

「旅する教師」として「みんなを自由にする」活動をしています。ご査収ください。

学校

(おそらく幾分先進的な)勤務校のコロナ対応についての情報共有、あるいは「シン・ゴジラ」に学ぶ学校組織の緊急時対応

勤務校のコロナ対応について、「コロナが落ち着いたらまとめよう」なんてことを思っていたのだけど、どうやら「アフターコロナ」はまだまだずっと先らしい、と気づいた今、こうやって書き出しています。 「そちらの学校のコロナ対応はどんな感じですか?」 …

「グループワーク、ペアトーク禁止令」下での授業について、あるいは新しい対話型授業の可能性

勤務校で「授業中のグループワーク、ペアトーク等禁止令」が出た。 まあ、このご時世で当然と言えば当然なのだけど、ここ数年間「いかに“教師主導の学び”を脱するか」ということを考えながら授業をしていた身としては『ちょっと、それって授業を何年分元に戻…

高校生のプロジェクトの“伴走”について(2020年2月現在) あるいは自分が受けてきた“伴走”について

この話題は2月の末に投稿したかったのだけど、いつの間にか新年度。勤務校は3月は臨時休校もなく、学校業務も比較的安定していたのだけど、そういう時期よりも業務がばたばたしているときの方が執筆意欲が湧くから不思議だ。 ということで、今回は生徒の「探…

学校のチャイムは何のためにあるのか、あるいは議論の揚げ足をとりまくる不毛さについて

そういえば、最近はチャイムのない学校にしか勤務していない。 現任校も、一つ前の勤務校も、いわゆる「ノーチャイム」だった。(たしか)その前の勤務校にはチャイムがあったと思うのだけど、あまり覚えていない。 まあ、そういう意味で僕自身はノーチャイ…

「平均」を見て議論すること、あるいは集団を「分かった」と思うこと

生徒たちはよく「平均点」を気にする。 試験を返したあとに 「先生、平均点は何点ですか?」 と聞かれるのだけど、以前の私はだいたい一言、 「知らない」 とぶっきらぼうに答えるだけだった。 まあ、本当に切実な理由で平均点を知りたい生徒も中にはいるの…

【島生活】欠航の日は休校の日、あるいは「自然には勝てない」という正しい前提をもつこと

朝の6:30に島内無線が響きわたる。 まずは隠岐汽船から 「本日、海上時化のため、フェリーは終日欠航します」 続いて隠岐観光から 「内航船いそかぜ、フェリーどうぜんは終日欠航します」 この2つの放送が同じ内容だと思うかもしれないが、前者は本土から隠…

「キャリアプラン」を「検討」すること、あるいは「進路」を「指導」すること

勤務校には「キャリアプランニング検討会」という会がある。 その会では生徒が書いた希望進路先などを見ながら、教員がその内容に対する提案や情報共有、懸念点などを発言していくのだけど、その会に出席していて毎回思う。 『大卒→教員 というキャリアしか…

職員室の3学期、あるいは教員と「評価」の関係について

3学期になると、職員室の話題は全国どこでもだいたい一緒。 「人事」だ。 僕は都合、5つの府県で職員室に通わせてもらっていたのだけど(立場は教員だったり学習支援員だったりスクールサポーターだったり様々だったが)、どこの職員室でも同じだった。 3学…

センター試験を受ける生徒たちへのメッセージ、あるいは “Take it easy” という考え方

今日、勤務校でセンター試験の激励会なるものがあった。 誤解を恐れずに言えば、私はこの「センター試験激励会」という会が嫌いである。 センター試験はたしかに大事な試験なのだけれど、それを受ける生徒だけが特別に学校公式の場で「激励」されるというの…

学校と授業はどこへ行くのか、あるいは教員と生徒が共に伸び合う授業研究の未来像

教育系雑誌『授業づくりネットワーク』の最新・34号に僕の書いた記事が掲載された。 記事のタイトルは「隠岐島前高校はどこへ行くのか:対話から始まる“授業づくり”と“学校づくり”」。 授業づくりネットワークNo.34―「授業研究」を真ん中において職場をつく…

半年くらい準備していた授業のこと、あるいは授業で生徒に教わったこと

今日の授業は久々にわくわくするくらいオモシロかった。(最近このブログで愚痴ばかり書いているので今日はそんなテンションで笑) 授業は「人権同和教育ホームルーム」の一環で、まぁ言うなら中学校までの道徳の授業の高校版。「人権同和教育ホームルーム」…

大学入試改革への私見、あるいは「入学者選抜」ならぬ「受講者選抜」の考え方について

先日、年下の友人と鍋をつつきながら、 いつものように センター試験の悪口 を言っていた。 参照:traveling-teacher.hatenablog.jp ブログの文章よりもずっと過激な批判をしていたのだけど、そんな愚痴に苛立ったのか、友人から不意打ちのように 「じゃあ、…

授業スタイルの多様性、あるいは「教えない授業」で教えていることについて

ちょっとした 魔女狩り だと思った。 …と書くと物騒なのだけど、まぁ実際そんな感じだ。恐ろしさと、哀しさと、怒りのこみ上げる発言だった。 発言の主は、とある権威者。もちろん僕なんかよりずっと強い発言力を持っている。発言の場は、とある研修。授業の…

期末試験での小さな挑戦、あるいは“受験勉強”と“課題探究”の境目で起こることについて

2学期の期末試験、高校3年生の数学では、選択制で「テイクホーム試験」を行った。「テイクホーム試験」は、ちょっと難易度高めの探究型の試験問題をあらかじめ配布し、当日までにその解答を準備する形式で、「海外大学ではよくあるんだよね」と学部時代の教…

会議での一コマ、あるいは『授業の責任は誰にあるのか』について。

今回は短文。(本当はいくつか書きかけの記事があるのだけど、内容が多くなりすぎてまとまらずにいる) この前、数学の先生方の会議でちょっと気になるやり取りがあった。(※以下、公開用に内容を一部編集しています) 「授業で使っている問題集の解答ですが…

差別の構造、あるいは考えすぎかもしれない事柄について

つい先日、学校全体で「人権同和教育」の授業をする日があった。その中である授業を見学したのだけど、それについて考えている。 できれば読者の方に一緒に考えていただきたくブログを書いた。_____授業のテーマは「就職差別」。 就職面接では(もちろん進学…

運動部と文化部の違いは何か、あるいは部活動についての長い議論の序章

数週間前、教職員の「高校総体おつかれさま会」なるものがあった。 そこでは各部活動顧問が一人一言、前に立って結果報告や部活にたいする想いを述べていく。僕は現在は文化部の顧問なので話す場もなく、ただ先生方の熱い想いを聞いていたのだけど、聞いてい…

年度当初のクラスへの挨拶、あるいは自由と制限の境目について

遅ればせながら新年度。 散々希望を出していたのに今年度も僕は副担任で、もしかしたらもう担任を持つことがなくなるんじゃないかとハラハラしていたり、していなかったり。 ただ、今年度は職員室から図書準備室に机が移動し、学校図書館運営にも関われるこ…

Clearing、あるいは過去の教育理念と訣別することについて

しばらく更新が止まっていた間に、勤務校の卒業式で多くの生徒と別れのメッセージを交わしたり、前任校の教え子に再会して思い出話や互いの現状報告に花を咲かせたりしていた。 僕は現任校に来てから特に、別れの時や区切りとなるタイミングには、「Clearing…

「大人の思い通りに動く生徒」を望んでいる教員たち、あるいは社会に巣食う支配欲求の病理について

今回は一言目でケンカを売ってしまおう。 この世の中には『生徒を自分の思い通りにしたい』と思っている教員がたくさんいる。 「授業中に真剣に話を聞いてくれる生徒」「出した指示に『はい!』と元気よく返事をしてすぐに行動してくれる生徒」「どんなとき…

「授業が崩壊する」とはどういうことか。

この記事は僕がいま実践している授業スタイルを前提に書いている。 なので、できれば前提知識として以下の記事をご一読いただいてから下記に進んでいただきたい。 traveling-teacher.hatenablog.jp 最近、僕の授業を見学してくださった方から「このままでは…

生徒の声を聴き続けること、あるいは今の授業研究に足りないものについて

先日、学校ホームページに掲載する教員インタビューを受けた。 担当の生徒(うちの学校ではホームページの運営も生徒がやっている)がインタビュアーとなり、これまでの職歴だとかこの学校に来た理由だとか今後やりたいことだとかを1時間ほど語っていたのだ…

旅での怪我とその功名、あるいは南アフリカ共和国のアパルトヘイトと日本の学校教育現場は相似形だという仮説について。

ブログでの報告がすっかり遅くなってしまいましたが、無事に日本に帰国しました。いや、「無事に」と言い切るのはいささか憚られるくらいのトラブルもあったのですが、とりあえずそこはいつかどこかで記録に残すとして。 今回はそんなトラブルの中で出会った…

「失敗の可能性を担保しておく」ということ

探究型の授業について先生方と打合せをしていた。話題は、これからの授業で生徒たちの活動をどのようにサポートしていくか、ということだったのだけど、自分が思わず発していた言葉に僕自身が変に悩まされている。 いわく、「そんなに手取り足取りサポートし…

【書評】本質を追究する対話、あるいは「当たり前」をやめるための「当たり前」の力について

麹町中学校の学校改革は、僕の中で今年の春最大のホットワードだった。 「定期テスト」「服装頭髪指導」「学級担任制」といった、普通の公立中学校では「当たり前」にあるルールや取り決めを実際に廃止し、より本質的な教育の在り方を実践しようとしている工…

そういえばこんなテストをやってきた。

昨日の記事をかきながら、テストについてはあまり変わったことをやって来なかったんだよなあ、と思っていたのだけど、ん、あった。 現任校に来るときに、それまでやっていた教育実践をすべて捨ててきたので(いま思うとそれなりにオモシロいことをやっていた…

テストについて(2018年11月現在)

今日から定期試験が始まった。 生徒たちはとてもがんばって試験に臨んでいるし、それは個人的にも嬉しいことではあるのだけど、あれ、これで良かったんだっけ? これで教育良くなるのかな?って思うシーンが多々あるのも事実で。 とりあえず、①学校のテスト…

三連休明けの学校

三連休明けのしんどい朝。起きた瞬間、 「学校行きたくねー!!」 って、小学生みたいに思った。 学校では、高校生たちもいつもより少し落ち着きがなくて集中も途切れがちだった。(まぁ僕も人に迷惑をかけている行動をとっていない限りあまり生徒たちを注意…

授業について(2018年11月現在)

僕の授業は、生徒から「自由」と評されることが多い。実際、学校でとっている授業アンケートでも ・授業の良いところ:自由なところ・授業の改善してほしいところ:自由なところ とまあ、そんなコメントを書かれる。 どんな授業をやっているのか、というと、…