旅する教師の業務報告

「旅する教師」として「みんなを自由にする」活動をしています。ご査収ください。

センター試験を受ける生徒たちへのメッセージ、あるいは “Take it easy” という考え方

今日、勤務校でセンター試験の激励会なるものがあった。

誤解を恐れずに言えば、私はこの「センター試験激励会」という会が嫌いである。

センター試験はたしかに大事な試験なのだけれど、それを受ける生徒だけが特別に学校公式の場で「激励」されるというのは腑に落ちない。
就職活動の激励会とか、AO・推薦入試の激励会とか、そういうのも並行して行うのであればまだ分かるのだけど。
どこか、「就職をしたりAO・推薦入試で進路を決めた生徒よりも、受験勉強をしている生徒の方が偉い」といった考え方が根底にある気がして、どうにも好きになれない。

ただ、(もちろん)このことは激励会に出た生徒の責任ではないし、(当然)僕も生徒たちを激励したいとは思っているので、以下の文章はその前提でお読みいただきたい。

3学年の副担任、ということで、この激励会のために生徒たちへのメッセージを言う機会があるかもしれないと思って、数年来頭の中で温めていたことを準備しておいたのだけど、結局そんな場面は訪れず。

僕はそういうことが多い。そういえば以前もそんなことで記事を書いた。

以下、そこで述べる予定だった原稿を公開し、メッセージを少しでも生徒たちに届けることができればと思う。

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今日は「激励」ということで、「がんばれ」という話をします。

ただ、今からするのはちょっと違う観点での「がんばれ」の話。今日は教頭先生とかほかの先生方からたくさん「がんばれ」って話をしてもらったからね。

さて。
英語で「がんばれ」って、何て言うか分かりますか?

「Do your best(ベストを尽くせ)」って言い方もありますし、「Good luck(幸運を祈る)」という言い方もあります。日本語のニュアンスに近いのは「Do your best」ですけど、実際によく使うのは「Good luck」の方だそうです。

だけど、今日お話しするのは、それとはまた違った表現、「Take it easy」というやつです。

直訳すると「気楽にいこうよ」という意味になります。英語圏の人たちは、この言葉を「がんばれ」という言葉と同じような場面で使うんです。

発想が、全然違いますよね。

「Take it easy」って、「あんまりがんばるなよ」とも取れるような意味の言葉ですから。

でも、僕は、この「Take it easy」の感覚って、日本人に、特に皆さんにとってとても大事な考え方なんじゃないかと思ってます。

センター試験なんて、気楽に臨んでいいんです。

人生が100年の時代、たかたが18歳のときに受験勉強ができて、人より多く「正解」の解答欄を黒く塗りつぶせただけで、人生は変わりません。

もちろん、大学に落ちたくない気持ちも分かりますし、点数を少しでも取りたい気持ちも分かります。
僕だって受験生のときは「1点でも多く」と思いつつ根を詰めてセンター試験に臨んでました。

でも、終わって振り返ってみると、大した話じゃないんです。

センター試験で失敗したり大学に落ちた直後は悲しくてツラくて立ち直れないような気分になるかもしれません。僕も大学院には何回か落ちてますし教員採用試験も落ちてばっかりでしたし就職試験では何十社からも落とされました。そのたびにツラくて、怖くて、先が真っ暗になって、大変でした。

でも、やっぱり、振り返ってみると大したことはありませんでした。

たしかにそういった試験では上手くいかなかったけれど、今のところ自分にとって満足のいく人生を送れているからです。

センター試験は時の運で結果が大きく左右される試験です。成功する人もいますが、失敗する人も必ず出てきます。…たぶんこの中の全員が完全に成功するなんてことはあり得ないでしょう。数学的にも。

だから、大事なのは成功するか失敗するかじゃないと思うんです。

むしろ、その成功なり失敗をどこまで「自分の人生」として受け止めて、これから先に活かせるか、これができることの方がずっと大切なんだと思います。


そして、ここからが大事なんですが、僕が知る限り、皆さんは十分にその力を持っています

皆さんがセンター試験を成功しようと失敗しようと、きっと皆さんは自分の人生を楽しめるはずなんです。そういう力を持っているはずなんです。

 

だから、

「Take it easy」

センター試験なんて、こんなよく分からない穴塗りテストを重く考えず、「easy」に捉えてください。

皆さんの将来は、いずれにせよ明るいんです。

「Take it easy」そして「Good luck」

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受験生の皆さん、また学校でお会いしましょう。