旅する教師の業務報告

「旅する教師」として「みんなを自由にする」活動をしています。ご査収ください。

2019-01-01から1年間の記事一覧

学校と授業はどこへ行くのか、あるいは教員と生徒が共に伸び合う授業研究の未来像

教育系雑誌『授業づくりネットワーク』の最新・34号に僕の書いた記事が掲載された。 記事のタイトルは「隠岐島前高校はどこへ行くのか:対話から始まる“授業づくり”と“学校づくり”」。 授業づくりネットワークNo.34―「授業研究」を真ん中において職場をつく…

半年くらい準備していた授業のこと、あるいは授業で生徒に教わったこと

今日の授業は久々にわくわくするくらいオモシロかった。(最近このブログで愚痴ばかり書いているので今日はそんなテンションで笑) 授業は「人権同和教育ホームルーム」の一環で、まぁ言うなら中学校までの道徳の授業の高校版。「人権同和教育ホームルーム」…

大学入試改革への私見、あるいは「入学者選抜」ならぬ「受講者選抜」の考え方について

先日、年下の友人と鍋をつつきながら、 いつものように センター試験の悪口 を言っていた。 参照:traveling-teacher.hatenablog.jp ブログの文章よりもずっと過激な批判をしていたのだけど、そんな愚痴に苛立ったのか、友人から不意打ちのように 「じゃあ、…

生徒を見ていて学ぶこと、あるいは「真剣勝負」と「心の余裕」の両立について

生徒を見ていて心から尊敬を感じる機会がある。 先日は数学の研究授業で、3次の因数分解の有名な難題をある生徒がさらりと解いたとき、そしてその発想を惜しげもなく周囲の生徒に共有したとき、心底驚くとともに尊敬の念を抱いた。(ちなみに僕は高校生の頃…

センター試験(数学)と数学的思考力、あるいは「ぼくのかんがえた最強のセンター試験」

センター試験が嫌いだ。受験生の頃から、ずっと。 特にセンター試験の数学が嫌いだ。数学に真摯に向き合う生徒ほど、あの問題で高得点が取りづらくなる。(生徒には「本当の学問的な数学を“マラソン”と喩えるなら、センター試験の数学は“110mハードル”だ」な…

授業スタイルの多様性、あるいは「教えない授業」で教えていることについて

ちょっとした 魔女狩り だと思った。 …と書くと物騒なのだけど、まぁ実際そんな感じだ。恐ろしさと、哀しさと、怒りのこみ上げる発言だった。 発言の主は、とある権威者。もちろん僕なんかよりずっと強い発言力を持っている。発言の場は、とある研修。授業の…

期末試験での小さな挑戦、あるいは“受験勉強”と“課題探究”の境目で起こることについて

2学期の期末試験、高校3年生の数学では、選択制で「テイクホーム試験」を行った。「テイクホーム試験」は、ちょっと難易度高めの探究型の試験問題をあらかじめ配布し、当日までにその解答を準備する形式で、「海外大学ではよくあるんだよね」と学部時代の教…

【旅】'19夏 ギリシア・アテネからのセルビアとバルカン半島周遊 〜本編

ギリシア(8月4日〜6日:2泊3日) マケドニア(8月6日〜8日:2泊3日) セルビア(8月8日〜11日:3泊4日) ギリシア(8月4日〜6日:2泊3日) 【1日目】 ギリシアはEU。だからユーロを使う(実は初めて)。入国審査も「EU」と「EU以外」の区別。 地中海性気候…

【旅】'19夏 ギリシア・アテネからのセルビアとバルカン半島周遊 〜出発とギリシャ着まで

この夏はギリシアとセルビアの地中海、バルカン半島の旅を8月3日から10日間ほど。 【8月2日まで】7月31日まで部活一色で、次の日は終日出張、その次の日(出発前日)に出発準備をしようと思っていたら部活の会計処理の後始末でトラブルがあり丸一日つぶれる…

会議での一コマ、あるいは『授業の責任は誰にあるのか』について。

今回は短文。(本当はいくつか書きかけの記事があるのだけど、内容が多くなりすぎてまとまらずにいる) この前、数学の先生方の会議でちょっと気になるやり取りがあった。(※以下、公開用に内容を一部編集しています) 「授業で使っている問題集の解答ですが…

差別の構造、あるいは考えすぎかもしれない事柄について

つい先日、学校全体で「人権同和教育」の授業をする日があった。その中である授業を見学したのだけど、それについて考えている。 できれば読者の方に一緒に考えていただきたくブログを書いた。_____授業のテーマは「就職差別」。 就職面接では(もちろん進学…

運動部と文化部の違いは何か、あるいは部活動についての長い議論の序章

数週間前、教職員の「高校総体おつかれさま会」なるものがあった。 そこでは各部活動顧問が一人一言、前に立って結果報告や部活にたいする想いを述べていく。僕は現在は文化部の顧問なので話す場もなく、ただ先生方の熱い想いを聞いていたのだけど、聞いてい…

「やらされない」こと、あるいは最近の授業について(2019年4月現在)

今年の1年生の授業は、「やらされるな」の一言からスタートした。 オリエンテーションで言った内容は↓の感じ。 中学校までの教育のことを「義務教育」って言いますよね。 あれは何が義務だったかって言うと、「親が子どもに“教育を受けさせる義務”」なんです…

入院中に感じたこと、あるいは生徒の多様性のための教員の多様性について

入院をして、先ほど退院した。 月曜から日曜までのほぼ1週間、病院のフロアの一部で生活しながら、手術とその後の治療に専念していた。手術直後は痛みがなかなか引かず、数日ほぼずっと寝ていたのだけど、それが落ち着いてからは比較的余裕も出てきて、本を…

年度当初のクラスへの挨拶、あるいは自由と制限の境目について

遅ればせながら新年度。 散々希望を出していたのに今年度も僕は副担任で、もしかしたらもう担任を持つことがなくなるんじゃないかとハラハラしていたり、していなかったり。 ただ、今年度は職員室から図書準備室に机が移動し、学校図書館運営にも関われるこ…

Clearing、あるいは過去の教育理念と訣別することについて

しばらく更新が止まっていた間に、勤務校の卒業式で多くの生徒と別れのメッセージを交わしたり、前任校の教え子に再会して思い出話や互いの現状報告に花を咲かせたりしていた。 僕は現任校に来てから特に、別れの時や区切りとなるタイミングには、「Clearing…

【話題】今までの日本の教育の失敗についてデータを通して向き合ってみた。あるいは「教育の目的」を意識した教育活動の必要性について

先週、Facebookで『日本人の3分の1は日本語が読めない』というちょっと衝撃的なタイトルの記事が回ってきた。 このニュースを読んでから、これって一体どういうことなのかを考えていた。 いわく、OECDの国際成人力調査(PIAAC)の結果を分析すると、 日本人…

「大人の思い通りに動く生徒」を望んでいる教員たち、あるいは社会に巣食う支配欲求の病理について

今回は一言目でケンカを売ってしまおう。 この世の中には『生徒を自分の思い通りにしたい』と思っている教員がたくさんいる。 「授業中に真剣に話を聞いてくれる生徒」「出した指示に『はい!』と元気よく返事をしてすぐに行動してくれる生徒」「どんなとき…

「授業が崩壊する」とはどういうことか。

この記事は僕がいま実践している授業スタイルを前提に書いている。 なので、できれば前提知識として以下の記事をご一読いただいてから下記に進んでいただきたい。 traveling-teacher.hatenablog.jp 最近、僕の授業を見学してくださった方から「このままでは…

生徒の声を聴き続けること、あるいは今の授業研究に足りないものについて

先日、学校ホームページに掲載する教員インタビューを受けた。 担当の生徒(うちの学校ではホームページの運営も生徒がやっている)がインタビュアーとなり、これまでの職歴だとかこの学校に来た理由だとか今後やりたいことだとかを1時間ほど語っていたのだ…

旅での怪我とその功名、あるいは南アフリカ共和国のアパルトヘイトと日本の学校教育現場は相似形だという仮説について。

ブログでの報告がすっかり遅くなってしまいましたが、無事に日本に帰国しました。いや、「無事に」と言い切るのはいささか憚られるくらいのトラブルもあったのですが、とりあえずそこはいつかどこかで記録に残すとして。 今回はそんなトラブルの中で出会った…

【旅】'18〜'19年 上海・ロンドン・ケープタウンからのナミビア 〜ロンドン3日目・ケープタウン1〜2日目

あけましておめでとうございます。 現在地・ナミビアではWi-Fiもあまり繋がらず、更新が滞っていますがご了承を。もう昨年のことになってしまった、ケープタウン(南アフリカ)での話。 ロンドン・ガトウィック空港発の飛行機内は9割くらいが白人。残りが黒…