過去の自作テストを辛口批評してみた。
先日、センター試験の数学の問題を上から目線で辛口批評する、という記事を書いたのだけど、
参考:
それを読んだ生徒から
「先生、せっかくだから自分が昔作ったテストでもやってくださいよ」
と言われたので、
「それオモシロいじゃん」
と。
…さすがに現任校のテスト問題だといろいろとマズそうなので、過去の勤務校で実際に出した問題を一部改変しつつ公開、批評していきます。
ちなみにそれらの学校では、そもそも教員用のパソコンが配られていなくて、教員は各自自分のパソコンを持っていって作業する、というスタイルでした。
ってことで業務データの無断持ち出しうんぬんにはならないんだからね! と念押ししときます。笑
とりあえず今回は、中1の1学期期末テストの問題批評を。
この学校は1学期中間テストがあったので、試験範囲は
- 正負の数(基礎的な計算問題は中間テストの範囲だったので、後半の応用問題等がメインの範囲)
- 文字と式(文字式のルールや、日常の事柄を文字を使って表す意味、など)
あたり。
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- って、表紙つきかよ。
- そういえば毎回作ってたけども。ヒマだったのか、当時の僕。
- 毎回100部以上折って挟んで冊子形式に…、って結構大変だったな、これ。
- そんなことしてるから心の余裕がなくなっていくんだよ、と教えてやりたい。
- …てかこれ意味あったのか?
- 分かってるよ、フォントはモリサワのリュウミンで、教科書とか各種学力テストのフォントと揃えたんだろ。
- 当時は「入試のときに緊張しないように」とか考えてたけど、やっぱこれ意味あったのか?
- てか注意書きが過保護!笑
- 「どの順番から解き始めても構いません」って、当たり前だから!
- まぁ、それが苦手な生徒はいたけども。表紙に書いてあっても「あ、そうか!」ってならないしなあ。
- やっぱ別に要らなかったなー
- あ、でもいま思い出したけど、たしか最初の学校で「テストを配る順番で有利不利が生まれないように、問題には表紙をつけてください」って指導があって、その名残だった気が。
- にしてももっとシンプルに作りゃ良かったなー
- そして表紙の下部にこの文言!
- 圧倒的に要らない笑
- でも丁寧な塾はちゃんと連絡をくれてた。ありがたい限り。
- そういえばこれも、最初の学校の近場の塾が「生徒から定期試験の過去問を買い取る」「買い取ったテストから作った対策問題を売る」っていう商売してたことへの対抗のつもりだった気が。
- その後、そもそも試験のモデル問題を事前配布とかするようになるんだけどね。
- ようやく問題が始まった…
- 最初は普通の計算問題ね。
- 1問1点、って数学じゃあんまり見ないよね。さすがにキツくないか?
- …そういえばここだけを落として99点の生徒もいたっけ。
- 第1問 (5)(9)(10) とかは2点問題でもいい気がするなぁ。
- 第2問 (1)(2) が2点問題なのは…、なぜ?
- たぶん試験範囲(正負のわり算以降)の都合なんだろうけど、それって大人の都合だよね。問題を見たときのバランスは明らかに悪い。
- まぁサービス問題と言えなくはない。
- 第2問 (6) は分配法則を使って計算を楽にする問題なんだけど、普通に通分しても大差ないよね。もっといい数値例なかったのかしら。
- 第2問 (7)(8) はだいぶ手加減したよね。3点問題でもう少しキツめの計算入れても良かったかもね。
- 第3問もオーソドックス。
- 第3問 (8) を、もうちょっと数学的に意味のある形にしても良かった。シンプルな式なら (a + b)÷2 とか。
- まぁ、割る数をマイナスにしたかった、という意図は分かるけども。いまいち。
- 第4問は第3問と独立な感じで出してるけど、せっかく表と裏の関係なんだから、お互いにヒントになるような問題内容にしても良かったよね。数学が苦手な生徒もじっくり考えれば分かるような問題が理想。
- 第4問 (2) 、それを聞くなら b^2-4ac だろう。そういうところで高校数学に接続させていこうよ、ねえ!
- 第5問…。まぁオーソドックスではあるけどね。せめて (3) はもう少し冒険すりゃよかったんじゃん?
- 知識・理解の問題を第6問に持ってくるわけね。
- 結構多くの先生は最初に持ってくるよね、なぜか。
- まぁあくまで最初は計算問題にして用語問題は補助的に、という方針は納得できないわけではない。
- 第6問の役割は、「基礎的な数学記号・用語・概念を理解しているかを確認する」ことだと思うので、まぁそんなに攻める必要はないと思う。
- その意味で (3) はちょっとやりすぎかなー。「絶対値」って言葉の意味の理解確認の範囲を越えている。
- 反省しなさい。
- 第7問はとても大切ね。自分でちゃんと例を作れるか。
- (1) と (2) で方向性ばらばらだけども。ご愛嬌と言えばご愛嬌。
- 第7問 (2) は ○+△=-7 となる○と△の例を答えなさい、って、ちょっと難しかったかもな。 ○+△=-2(○は正)と ○+△=3(○は負)くらいにしとけば解きやすかったかも。
- そういえばこの問題、解答欄を作るのに苦労したっけ…。
- 第8問…。超絶ダサい…。
- いや、たしか教科書に載っていた問題だったから、一応流用したんだけどさ。
- 正直、要らないよね。
- これを出すくらいなら、この問題を削ってほかの問題の配点を上げたほうが良かったよね。
- たぶん、観点ごとの配点バランスの都合だったんだろうけどさ。そんな大人の都合を生徒に押しつけるんじゃあないよ。
- 第9問はいいと思うよ。間違ってる理由をちゃんと文章で記述するのも大事。
- (せっかくだから正しい答えを聞いても良かった気はするけども)
- 第10問 (1) は攻めたなあ。①②③の誘導で「マイナス×マイナス=プラス」を説明するのも比較的よく練られてるよね。
- とっても残念ながら (2) は超ふつうなのだけど。
- まぁ教科書にも載ってるし、内容も普通に実用的だし、(2) も悪いわけじゃないんだけどね。
- もう一息、身長とは違った例を出しつつ「たしかにこれなら正負の数使って計算すると楽だよなー」って自然に思ってもらいたいところ。
- 結果的に、第10 問は (1) と (2) を入れ替えたほうが良かった気がするなあ。
【総評】
- 総じて、中学1年生1学期の定期テスト問題として、幅広い学力層にアプローチしようとしてることは分かる、かな。
- しっかり教科書の内容が分かっていれば8割、ワークもできて9割、それ以外の応用問題でラスト1割、くらいね。まぁ理解はできる。
- ただ、全体的に「広く浅く」聞こうとしすぎな気もするかな。
- 記号・用語・概念の問題とか、出題内容を絞っても良かったかも。
- 問題数をもっと減らすことで、じっくり考えてほしい問題にも取り組んでもらえるわけで。
- 定期試験は「学力の到達度を測る」意味もあるけど、「試験を通して思考力を鍛える」って意味もあって良いと思うので、数学が苦手な生徒にも後者の機会が生まれるような問題にしたいなあと。
- あと、大前提となるテスト範囲がひどかったよね。なんだよ、「正負の数のわり算から」って。
- そこは前の範囲に入れとけよ。生徒も勉強しづらいよ。
- 文字式もさ、等式・不等式を立てるとこまで進んでおけよ。次の範囲もめっちゃ中途半端じゃないかよ。
- テスト範囲を見通した授業設計、とかさ。お前、今でも苦手だよな。
- 反省しなさい。
…はい。
自分が作った問題だとあんまり辛口になりきれないなあ。と気づいた深夜1時。
次回があるかどうかはこの記事への反応次第ですね。笑