旅する教師の業務報告

「旅する教師」として「みんなを自由にする」活動をしています。ご査収ください。

テスト問題の作り方について、あるいは平均点を公表すべきか否かの問題

テスト問題の作り方は大きく2種類ある、と思っている。

・「平均点○点を目指す」作り方…生徒のレベルに合わせて難易度を変える
 → 『相対主義』的作問
・「範囲の重要な箇所を問う」作り方…生徒のレベルを考慮しない
 → 『絶対主義』的作問

この2つ。具体例で言うと、相対主義的作問は大学入試とかいわゆる「差をつけることが目的」な試験で使われて、絶対主義的作問は資格試験とかの「到達レベルを測定することが目的」の試験で使われる。

これらは、どちらが良い、とかいう話ではなくて、この2つの作問方法の違いは目的の違いに起因しているということ。でも、そこを理解していないと、どうしたってちぐはぐな試験問題になってしまう。

実際、本来学校のテストに求められるのは「生徒個々人の到達度を測る」ことなわけで(※異論歓迎)、だとすると絶対主義的な作問を軸に考える必要があるのだけど、現場の先生方は「平均点が60点くらいにならないと見栄えが悪い」と相対主義的な発想になってしまうことが多い(そして、そのようなテストが良いテストだと指導されたりもする)。

まぁ、相対主義的な発想の良さも分からなくはない。特に成績をつけるときはそれを実感する。相対主義的に問題を作ると生徒の点数がうまい具合に散らばってくれるから、成績評定のラインが決めやすい(逆に絶対主義的だと上位や下位に人数が固まりやすいので、そこの成績で評定がつけにくくなる)。

でも、何度も言うようにテストは「生徒個々人の到達度を測る」ためのものであって、生徒を他人と比較するためのものではない。「今回がんばったのにアイツより悪くてショック」とか「自分の点数は低かったけど、平均点も低かったから仕方ないや」なんて考えてほしくもない。「成績がつけやすい」なんていう教員側の事情を生徒に押しつけて、テストを勝手に序列付けのための道具にするのも嫌だ。

(そう考えているから、僕はずっと「テストの平均点なんて無意味だ。自分の出来たところ・出来なかったところと向き合いなさい」と言って平均点を公表していなかったのだけど、現任校は平均点が成績処理上大きな意味を持っているので不本意ながらも公開せざるをえなくなった。マジ不本意

…で、僕は絶対主義的な作問をしているのだけど、そうするとどうしても平均点が毎回乱高下しがちで、うん、平均点を気にしがちな生徒の皆さん、ごめんなさいね、というお話でした。

 

余談:現任校の現在のシステムでは、問題全体が2つのパートに分かれていて、それぞれ絶対主義的作問が60点分、相対主義的作問が40点分になっている。まぁこれはこれで良い折衷策だと思うのだけど、本来違う目的のテストを混ぜている状態、とも言える。ここは将来的によりよい形にしていきたいなあ。