旅する教師の業務報告

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センター演習について、あるいは満点主義の弊害

時期柄、高3のセンター試験の演習を見たり、高3の生徒にセンター対策のやり方を教えたりすることが多いんだけど、その中でいつも言うのは

センター試験は満点を取る(取れる)試験ではない」
ということ。

 

まあセンター試験に限らず大学入試全般についてそうなんだけど、小学校とか中学校のテストじゃないの、満点なんて取れないの、基本。
(もちろん東大とか狙う人たちはセンターで10割目指す、って人もいるけど、大部分はそうじゃないし、東大だって足切りさえ避けられればセンターの点数なんてほとんど関係ない)

 

だからこそ、センター試験は目標点を自分なりにしっかり定めて、その点数を取るのに必要な演習だけをしっかり積んでいけばいい。

数学で7割を目指す生徒は、数学の大問を最後まで解こうとしてはいけないし、解説を読んで大問の最後で意味が分からなくなってもそこで悩んだりしてはいけない。だって、「7割取る」のが目標の生徒にとって、その問題を解く意味がないんだもの。むしろその問題を解いたりその解説で悩んだりする時間をほかの問題や教科の演習に回したほうがいい。

 

「問題は全部解かないといけない」
「解説は全部読まないといけない」…。
これは小学校とか中学校の満点主義の弊害。

 

たしかに、小学校で「九九の七の段ができなくてもだいたいの問題は解けるから大丈夫だよ」なんて言わないし、中学校で「連立方程式の代入法が出てきたら捨てなさい」なんて言わない。その学習は、多少時間がかかってもやっておかないと次の段階の学習をする際に支障が出る。

でも、センター試験とか大学入試ってそうじゃない。大学入学後にあの内容を使う学生のほうがずっと少ない(特に、いわゆる文系の学部では)。

 

それなのに「満点を取らないといけない」「ミスしたところは直さないといけない」って、中学校までの価値観で学習してしまう(教員もそれを推奨してしまう)から、マジメな受験生ほどどんどん苦しくなっていく。

 

そもそも「満点じゃないといけない」という考え方は、「先生の言うことを全部聞かないといけない」っていう考え方に通じるものがある。

「8割目指すんだから苦手な分野の最後の問題に手をつけても時間の無駄」っていう発想は、「先生の言うことも全部鵜呑みにせずに自分に必要なことを自分で判断して聞けばいい」っていう考え方と根本で繋がっている。

 

僕は後者の方を生徒に伝えたい。